自己破産は最後の手段…消費者金融を利用した結果

消費者金融のCMをテレビで見ない日は無いといっていい。数多の美麗な女優やモデルが「気楽」に「手軽」に「相談」できるとの謳い文句を申し合わせたかのように連呼し、利用者を募る。無論、適切に無理なく利用すれば便利なものと言えるが、他方その手軽さゆえ気づかぬうちに借金を重ね、消費者金融から借金できなくなると違法業者からも借金をし、借金額が雪だるま式に増えていってしまう…という話も聞いたことがあるだろう。友人や知人から借金をする場合、金額よりもその後の関係性や気持ちの変化が大きなリスクといえるが、そのリスクが無い消費者金融には金利という大きなリスクがあることを念頭に置くべきである。平成22の貸金業法改正によりグレーゾーン金利が撤廃され金利の上限が年利20%までとされたとはいえ、CMにあるような「気楽」な金利では、無い。その金利、或いはヤミ金業者の違法な金利により首がどうにもならなくなった場合、最終手段として残されるのが自己破産である。

自己破産といってどんなイメージが浮かぶだろうか。借金の解決方法の最後の手段、借金を帳消しにする代わりに普通の生活に戻れなくなる、選挙権がなくなる…等、大層なイメージを持たれていることが多いように思う。金の解決方法の最後の手段、というイメージはある面正しい。ある面とは何か。借金を解決する方法は他にもあるのである。それは、任意整理、特定調停、個人再生である。まず任意整理は、借り手と貸し手が話し合って借金問題を解決すること。とはいえ、借り手と貸し手のみの話し合いではなかなかスムーズに進まないため、通常は弁護士が仲介に入る。特定調停は、任意整理で弁護士の頼むところを簡易裁判所に頼むといったイメージ。個人再生は、主に住宅ローンを抱えた人がそれ以外の借金を整理し、住宅を手放さずに解決しようというものである。

では、自己破産とはなんぞや。前述の任意整理や特定調停でも借金問題を解決できなかった人が頼るという意味では「最後の手段」といえるが、「普通の生活に戻れなくなる」「選挙権が無くなる」等のイメージでそれを言っているとしたら大きな間違いである。自己破産しても、選挙権は勿論無くならないし、戸籍や住民票にその旨が記載されることも、会社に通知されることも無いのである。裁判所に「破産宣告」「免責決定」の順に認めてもらうことで成立する自己破産は、全ての借金が帳消しになる代わりに価値の大きな資産を失うこと、自己破産後5~7年は銀行からの借り入れやクレジットカードを持つことができなくなるというデメリットがあるが、今後の人生の再出発を促すという意味合いのほうがむしろ強い制度なのだ。

とはいえ、任意整理や特定調停で解決できるなら勿論その方が望ましい。人生における「最後の手段」ではなく、借金問題解決の「最後の手段」と捉えるのが妥当だろう。

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