夜逃げをしても借金からは逃げられない

ほんの軽い気持ちから借金を重ね、気づけば雪だるま式に増えてしまった借金に首が回らず夜逃げする…実際に見聞きしたことは無くともフィクションの世界ではよく見かける状況である。大概、夜逃げした主人公たちは新天地で新たな生活をスタートさせるのだが、どうやら現実はそう甘くないらしい。

借金の時効は、消費者金融などの会社からの借金であれば5年、そうではない個人からの借金であれば10年である。「5年なら逃げ切れるんじゃないか」と思われる方もいるかもしれない。しかし、消費者金融などの業者に時効の中断手続きをとられてしまったら5年経過したところで時効は成立しないし、そもそも夜逃げしたところで法律上の借金返済義務が消えるわけでもない。さらに、5年間逃げ続けるのはたいへんな労力を要するのである。

たとえば、夜逃げする以上、住民票などを移すわけにはいかない。それでは夜逃げではなく引越しだ。住民票を移さないとどんな弊害があるだろうか。まず選挙権、被選挙権を行使できない。また、国民健康保険、国民年金をはじめとした様々な公的サービスを受けることもできなくなる。住宅を借りるのも非常に困難であろう。

また、そのような労力を払って夜逃げしたところで、消費者金融、もしくは夜逃げに至るような業者であればヤミ金が多いと考えるが、そのような業者が指をくわえてみているわけも無く、あらゆる手段をつかって居場所を突き止めにかかるだろう。もし新たな居場所を見つけられてしまったら…その先は言うまでもない。

夜逃げをする労力、度胸があるのなら、まず債務整理の方法を考えるべきだ。任意整理や民事訴訟、最終手段としての自己破産などが挙げられるが、どれも夜逃げするよりは遥かにマシな手段であると同時にはるかにマシな未来の道しるべ足りうるものだ。夜逃げはサラ金業者からではなく、自分の人生からも逃げることになるのだ。

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